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Lee-Byung-hun addicted

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第3話

『釜山で愛を抱きしめて』 第3話




階下に揺と二人で下りていくと智がおにぎりをほおばっていた。
「#☆$Я*・・・・・・」
「何言ってるんだか。わからないよ・・」僕は呆れて笑いながらそういった。
「いいのよ。その人もう胸がいっぱいで何にも食べられないくらい上で食べてきたんだから。」不二子がニヤニヤ笑いながら言った。
何を言っているんだ・・全くわからない。
「ヒョン。最高にうまいっすよ。後二種類で全部食べ終わりますから待っててください。
あ・・ひとついかがですか?」
老眼鏡をかけ新聞のコラムを読んでいたトメおばあちゃんが突然そうつぶやいた。
そして、おにぎりをやっと飲み込んだ智が驚いている。
「凄い!おばあちゃんも不二子さんもなんで僕が言ってることちゃんとわかったんですか?いやぁ~凄いな・・・尊敬しちゃうな・・・」
智はそういうと最後のひとつをまたほおばった。
僕と揺はその光景を見ながら笑っていた。おばあちゃんも不二子さんもいつでも何でもお見通しなのだ。
「あら、ビョンホン君もう帰るのかい?可哀想に。今度はお泊りでゆっくりおいで。何にもないけど揺だけは用意しておくから。あんたそれしかいらんもんね。へへへへ・・」
彼女たちにはまだまだかないそうにない。僕は頭をかきながら「はい」と答えた。


「12日のお昼に釜山に向かうんだ。映画祭があって・・・ねぇ・・揺来ない?釜山に」
車までの短い距離僕は単刀直入にそう言った。
「ビョンホンssi仕事でしょ?」揺は笑いながらそう答えた。
やっぱりそういうと思った。揺はいつも自分が僕の仕事の邪魔になることを一番嫌う。
「行けたら行くけど・・約束は出来ないから気にしないで予定入れていいから。」
笑いながらそう答える揺に
「どこかで聞いた台詞だな。」僕は苦笑いをして言葉を返した。
彼女が来るつもりなのか・・来ない気なのか・・・僕は彼女の真意を知りたくてそっと横を歩く彼女の顔を覗き込んだ。そんな僕を彼女は横目でチラッと見た。
「ほら、智君ずっと待ってるから。早く早く。女のことばかり考えてないでちゃんとお仕事しなさいよ」揺は笑いながらそういうと僕の背中をポンと叩き、もたつく僕を車に押し込んだ。そして智に声を掛ける。
走り出した車に手を振る揺はいつもと同じ。僕への気持ちを疑う余地はない。
彼女は釜山に来ないのだろうか・・・僕は車の中でずっと考え続けていた。


彼は今頃何をしているのだろう。
連休明けの午前中六本木ヒルズは静かだった。
仕事に入る前に少し時間があったので私はお気に入りのショップにちょっと立ち寄ることにした。
店頭に綺麗にディスプレーされたドレスを眺める。
「それ、新作なんですよ。なかなか綺麗でしょ。」
「ええ。やっぱりいいですね。柄も素材も質感もデザインも私ここのお洋服大好きです。」
「ありがとうございます。橘さんに誉めていただくと嬉しいですね。いかがですか?着てみませんか?」
「ええ。でも・・・もうちょっと地味なのがいいんです。着て行きたいところは私が目立つべきところじゃないので。」
「そうですか。とっても似合うと思ったんですけど残念です。そうしたらこれを中に着てこの黒のスカートとこのストールっていうのはいかがですか。」
「わ、ステキですね。じゃ、着てみますね。」
今日何気なくこの店に寄ったのは釜山で着るドレスを無意識に探していたのだと思う。
彼には会えないかも・・と言いながら、会うときのために新しいドレスを選んでいる自分がちょっと可笑しくて試着しながらひとりニヤつく。
綺麗な飛菊の柄が黒に映えてとても美しい。
「いかがですか?」カーテンの向こうで馴染みの店員の声がした。
「ええ。とても気に入りました。これでお願いします。」
そう答えながら釜山の夜これを着て彼に会えるだろうか・・・と考える。縁があればきっと会える。縁は既にあるのだから心配することはないのだ・・・私は釜山での彼との夜を想い一人鏡に向かって微笑んだ。


「Mr.Lee もう一曲歌ってくださいよ。」
ここは六本木の会員制高級クラブ。
取材がすべて終わった後、僕はスタッフと一緒にここに案内された。
日本に来るとよく訪れる店だ。
スタッフと飲んで騒ぐのは嫌いじゃない。それはそれでとても楽しい。
ただ・・・日本で過ごす最後の夜。僕には別に行きたいところがあった。
「ええ。あ・・その前にちょっとトイレに行ってきます。」
僕はそういうと部屋を後にした。
注意深く人影に紛れて入り口を抜ける。
僕はタクシーを捕まえ「下落合3丁目」と告げた。
そしてメールを打つ。「あとはよろしく。明日朝帰ります」と。


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